鍼灸治療は高音型難聴に効くのか?

2025/10/16

高音型難聴は、主に高周波音(高い音域)の聞き取りが困難になるタイプの難聴で、感音性難聴の一種として分類されます。この症状は、加齢(老人性難聴)、騒音暴露、突発性難聴、薬物副作用、耳の感染症、遺伝的要因など多様な原因で引き起こされます。


⚫︎高音型難聴の特徴と原因

高音型難聴は、内耳の有毛細胞や聴神経の損傷により生じます。有毛細胞は音の振動を電気信号に変換する役割を持ち、特に高周波音を感知する細胞は内耳の基底膜の基底側に位置します。これらの細胞は一度損傷すると自然再生が難しく、進行性の難聴を引き起こすことがあります。加齢による難聴(老人性難聴)は、高音域から進行することが一般的で、会話の明瞭度低下や特定の音(例:鳥のさえずり、電話の着信音)の聞き取り困難を伴います。また、突発性難聴では急激な聴力低下が起こり、高音域に限定される場合もあります。


⚫︎鍼灸の理論とアプローチ

鍼灸は、東洋医学に基づく治療法で、経穴(ツボ)に鍼や灸を施すことで体の気・血・津液のバランスを整え、自然治癒力を高めるとされています。

高音型難聴に対しては、耳周辺や全身の関連する経絡(気の通り道)を刺激することで、局所の血流改善や神経機能の活性化を目指します。東洋医学では、耳は「腎」と密接に関連し、腎の機能低下が難聴の原因の一つと考えられます。また、ストレスや過労による「肝」の不調も難聴に関与するとされ、これらの臓腑のバランスを整えるツボが選択されます。

全身のツボで血流促進、炎症抑制、自律神経の調整に役立つとされています。耳周囲のツボは局所の循環を改善し、内耳への酸素・栄養供給を高める可能性があります。


鍼灸の効果に関する科学的エビデンス

鍼灸の難聴に対する効果については、科学的エビデンスが徐々に蓄積されつつありますが、決定的な結論には至っていません。いくつかの研究では、鍼灸が突発性難聴の回復を助ける可能性が示唆されています。たとえば、2018年のメタアナリシス(Acupuncture in Medicine誌)では、鍼灸を併用した突発性難聴患者の聴力改善率が、対照群(ステロイド治療のみ)に比べて有意に高いケースが報告されました。この研究では、鍼灸が血流改善や抗炎症作用を通じて内耳の修復を促進する可能性が指摘されています。


⚫︎治療

耳鼻科で適切な治療を行っても完治する方はおよそ三分の一、更に三分の一は改善するものの難聴・耳鳴りなどの後遺症が残り、残りの三分の一の方は改善しません。特に高音部の難聴は治癒しにくいと言われています


鍼灸は一般的に安全な治療法ですが、効果には個人差があります。高音型難聴の原因や進行度、患者の体質によって結果が異なるため、すべての患者に効果があるわけではありません。重度の難聴や進行性の疾患は鍼灸と病院の治療は並行するのはお勧めします。


⚫︎健康堂の独自の治療法

当院は長年の経験により、効果的な「短期集中・三段階治療」治療法を確立しております。

難聴系疾患の病院の治療では、理想的には発症48時間以内、出来れば14日以内の治療開始が望まれます。治療期間は2~3週間で、発症1か月以降の効果はあまりないようです。健康堂の鍼灸治療ではおよそ発症3か月までは改善が見られます(それ以降に改善することもあります)。早期に集中して施術を行うため、急性期は週に3〜4回の施術をお勧めしております。施術計画は中長期で2〜3ヶ月が目安となります。

高音型難聴に対する鍼灸治療は、耳周辺・顎関節・頚部の筋緊張の改善が重要です。特に頚の筋緊張の改善が椎骨動脈の血流(首の奥にある動脈)に影響し、間接的に聴力改善に関わると考えられます。また副症状として多い「耳鳴り」、「めまい」などにも鍼灸は効果的です。

高音型難聴に悩まれる方はぜひ一度当院の治療を受けてみてください。


                   健康堂 久我山院

                       西荻窪院



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