突発性難聴の治療中、なぜ回復が止まったり、聴力の不安定さが出るのか

突発性難聴の治療中、なぜ回復が止まったり、聴力の不安定さが出るのか
こんにちは、健康堂の冷です。最近病院で突発性難聴の治療中、聴力の回復が止まったり、聴力の不安定さが出ることで、当院まで問い合わせのお電話が増えてます。
突発性難聴の回復は直線的ではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に改善するのが一般的です。これにはいくつかの原因が考えられます。
原因① 内耳の血流の不安定さ
内耳(蝸牛)は非常に細い血管(微小循環)で栄養・酸素を供給されています。
・この微小循環は自律神経の影響を強く受ける
・ストレス・疲労・睡眠不足・気温変化などで血管が収縮しやすい
・血流が一時的に低下すると、回復途中の有毛細胞が再びダメージを受ける
・結果として「昨日より悪くなった」という状態が生じる
原因② 有毛細胞の脆弱な回復プロセス
蝸牛内の有毛細胞は一度損傷すると非常にゆっくりとしか回復しない細胞です。
回復途中の細胞は外部ストレスに対して健常時より敏感
・少しの負荷(騒音・疲労)でも一時的に機能が低下しやすい
・「2歩進んで1歩下がる」ような回復パターンになりやすい
原因③ 内リンパ水腫の関与
突発性難聴とメニエール病的な内リンパ水腫が合併・混在することがあります。
・内耳のリンパ液圧が変動すると聴力が大きく上下する
・特に低音域の変動が大きい場合はこのメカニズムが疑われる
・気圧変化・水分バランス・ストレスで悪化しやすい
原因④ 自律神経の乱れ
・突発性難聴の患者さんは発症前後に強いストレス・過労・睡眠不足があることが多い
・自律神経の乱れが内耳血流を不安定にさせ続ける
・回復しかけても交感神経が優位になる状況で再び悪化しやすい
また、聴力のが出やすい状況と原因はまとめます。
|状況 |なぜ悪化するか
|睡眠不足・過労 |内耳血流低下・自律神経の乱れ
|強いストレス |交感神経優位→血管収縮
|気圧の変化 |内リンパ圧の変動
|大きな音の環境 |回復途中の有毛細胞への負荷
|カフェイン・お酒 |血管収縮・内耳環境の悪化
|月経周期(女性) |ホルモン変動による内リンパ水腫
|冷え・体温低下 |末梢血管収縮→内耳血流低下
さて、回復が止まったり、聴力の不安定さが出るとき、鍼灸治療はどんな役割を果たすか
役割① 内耳の血流を安定させる
鍼灸の最も重要な働きは内耳の微小循環の改善と安定化です。
・耳周囲のツボへの刺激が内耳血管を拡張
・血流の「波」を小さくし、有毛細胞への安定した栄養供給を維持
・特に温灸との組み合わせで持続的な血流改善が期待できる
役割② 自律神経のバランスを整え、ストレス・不安を軽減
・鍼灸刺激が副交感神経を優位にし、過緊張した交感神経を抑制
・内耳血管の過度な収縮を防ぎ、聴力の急激な変動を抑える
・定期的な治療で自律神経の基準値そのものを安定させる効果がある
・耳鳴りと聴力変動への不安による悪循環を断ち切る
・セロトニン・エンドルフィンの分泌を促し、精神的安定をサポート
役割③ 内リンパ水腫の緩和
・東洋医学的に「水の代謝(水分代謝)」を司るツボを活用
・腎・脾の機能を高めることで内耳のリンパ液バランスを整える
・特に低音域の変動が大きいケースで有効とされる
役割④回復の「底上げ」と波を小さくする
|鍼灸なし |鍼灸あり
|回復の波が大きく不安定 |波が小さくなり安定した回復
|悪化時の落ち込みが深い |悪化しても最低ラインが高い
|回復のペースが不規則 |緩やかでも着実な改善
突発性難聴の回復中の「波」いわゆる不安定さは、内耳の脆弱な状態・血流の不安定さ・自律神経の揺れが組み合わさって起こります。鍼灸治療はこの「波を小さくし、回復の底を上げる」役割を果たします。「良くなったり悪くなったり」を繰り返しながらも、全体として上向きのトレンドを維持することが回復の本質です。
焦らず、継続的な治療と生活管理が最も大切です。また何か不明なところがございましたら、気軽に当院までお問い合わせください
健康堂 久我山院
西荻窪院
参考資料:
突発性難聴に対する治療戦略 井畑真太朗 著 · 2022

