PPPD (持続性知覚性姿勢誘発めまい)は鍼灸治療で良くなるの?

2026/07/21

 PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)は、2017年に国際的に定義された比較的新しい慢性めまい疾患です。急性めまい(例: BPPV、前庭神経炎、メニエール病など)の後や強いストレス後に、3ヶ月以上ほぼ毎日続く非回転性のふわふわしためまい・不安定感が特徴で、日本でも慢性めまいの約40%を占めると言われています。特に30〜50代女性に多く、日常生活(仕事・外出)が大きく制限されることがあります、不安傾向が強い、几帳面な性格の人に多く、心理的要因が発症・遷延に関与します。


メカニズム


急性期のめまいに対し、脳は本来「前庭系」に頼るべき姿勢制御を、視覚情報や体性感覚(足裏の感覚など)に過度に依存する代償戦略へ切り替えます。この代償が急性期を過ぎても固定化されてしまうことがPPPDの本質です。


具体的には、視覚野と前庭皮質のネットワーク間の機能的結合異常、多感覚統合の低下、不安に関わる大脳辺縁系(扁桃体など)の過活動が神経画像研究で示されています。人混みや動く視覚刺激(電車の窓、スーパーの陳列棚)、精密な視作業などで症状が悪化しやすいのはこのためです。自律神経系の乱れ(交感神経優位)も症状を増悪させます。


鍼灸治療が効く理由


鍼灸治療は複数の経路でPPPDに働きかけます。


1.
自律神経の調整:頭皮のツボなどへの刺鍼は迷走神経活動を高め、交感神経過緊張を鎮めることで不安・過覚醒状態を緩和します。

2.
頸部・後頭下筋群の緊張緩和:頸部周囲の筋緊張は頸部の固有受容感覚を歪め、めまい感を増幅させます。局所への刺鍼で筋緊張を緩め、正常な感覚入力を回復させます。

3.
脳血流・内耳循環の改善:耳の周りなどへの施術は内耳・脳幹周辺の微小循環を促進し、前庭機能の回復を後押しします。

4.
中枢性鎮静作用:鍼刺激によりβエンドルフィンなどの内因性オピオイドが放出され、痛みや不快感の閾値を上げるとともに、視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)の過剰反応を抑制します。



次は健康堂での治療症例も紹介します。


症例1:50代女性、事務職


主訴:半年前に前庭神経炎発症後、めまいは改善したが「ふわふわ感」「地面が揺れる感覚」が持続。スーパーの照明やパソコン作業で悪化。


所見:頸部(特に後頭下筋群)の著明な緊張、肩こり、不安感強く、睡眠の質低下。舌質淡紅・苔薄白、脈弦細。


治療:頸部緊張緩和と自律神経調整。肝の疏泄機能を促進。週2回、8週間継続。


経過:3回目あたりから頸部の軽さを自覚。6週目でスーパーでの症状軽減。8週目には日常生活での支障がほぼ消失。



症例2:30代女性、パニック発作既往


主訴:パニック発作後にふらつき感が慢性化。人混みで著明に悪化し、外出を避けるようになっていた。


治療:自律神経調整を中心に、肝虚の証に合わせ配穴。心理的サポートを兼ねた対話も重視。


経過:週2回、10週間の治療で外出時の不安・めまい感が軽減し、社会復帰が可能に。


最後、PPPDは比較的に新しい疾患で、鍼灸治療の有効性を完全に証明できるビックデータがまだないですが、当院の経験上、PPPDの症状に対し、頸部の緊張緩和自律神経調整内耳循環改善精神安定を組み合わせた総合的アプローチで多数な患者さんは改善が見られました。

鍼灸治療で軽減される可能性が考えられます。

めまいも含め、PPPDに悩まれる方は気軽にお問い合わせください。



                 健康堂 久我山院

                     西荻窪院