腕の痺れ、もしかすると胸郭出口症候群かもしれません
胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome:TOS)とは、首から腕へ向かう腕神経叢や鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が、首から胸にかけての狭い通り道(胸郭出口)で圧迫されることで起こる疾患です。
デスクワークやスマートフォンの長時間使用、猫背などの不良姿勢、重い荷物を持つ作業や腕を繰り返し使うスポーツなどがきっかけとなることがあります。また、なで肩の方や筋力低下により肩が下がりやすい方にも比較的多くみられます。
主な症状
胸郭出口症候群では、次のような症状がみられます。
- 首や肩のこり、痛み
- 腕から手にかけてのしびれ
- 腕のだるさや疲れやすさ
- 握力の低下や細かい作業のしづらさ
- 手の冷えや血色不良(血管が圧迫される場合)
特に、洗濯物を干す、高い場所の物を取る、つり革を持つなど、腕を上げる姿勢で症状が悪化することが特徴です。
胸郭出口症候群の原因
神経や血管が圧迫されやすい部位として、主に以下の3つがあります。
- 斜角筋症候群:首の筋肉(前・中斜角筋)の間で神経や血管が圧迫されるタイプ
- 肋鎖症候群:鎖骨と第一肋骨の間で圧迫されるタイプ
- 小胸筋症候群(過外転症候群):胸の小胸筋の下で圧迫されるタイプ
これらは単独で起こることもありますが、複数の部位が関与する場合もあります。
鍼灸治療に期待される作用
胸郭出口症候群では、姿勢の崩れや首・肩・胸周囲の筋緊張が症状を悪化させる要因となることがあります。
鍼灸治療では、過度に緊張した斜角筋や僧帽筋、肩甲挙筋、小胸筋などの筋肉を緩めることで、神経や血管への負担軽減が期待されます。
また、鍼刺激には痛みを抑える神経系の働きを促したり、自律神経機能を調整したりする作用が報告されており、首や肩周囲の筋緊張の改善や痛みの軽減につながる可能性があります。
ただし、鍼灸だけで症状の改善を目指すのではなく、姿勢の改善やストレッチ、肩甲骨周りの筋力トレーニングなどを組み合わせることが重要です。
日常生活で気を付けたいこと
症状を改善・予防するためには、日頃の姿勢も大切です。
- 長時間の前かがみ姿勢を避ける
- スマートフォンやパソコンの高さを調整する
- 肩甲骨を動かすストレッチを行う
- 同じ姿勢を続けず、こまめに休憩する
- 重いバッグを片側だけで持ち続けない
こうした生活習慣の見直しも、症状の軽減につながります。
まとめ
胸郭出口症候群は、姿勢や筋肉の緊張などによって首から腕へ向かう神経や血管が圧迫されることで生じる疾患です。早期に適切な対応を行うことで、症状の改善が期待できます。
当院では、筋肉や姿勢の状態を丁寧に評価し、一人ひとりに合わせた鍼灸施術とセルフケアのご提案を行っています。
強い筋力低下や持続するしびれ、手の色が変わるなどの症状がある場合には、頚椎疾患や血管性疾患など他の病気が関係している可能性もあります。そのような場合は医療機関での検査を受け、必要に応じて連携しながら施術を進めることが大切です。
