脊柱管狭窄症はどの程度なら鍼灸治療は効果があるか?
2025/06/11

こんにちは、健康堂の冷です。
数年前に比べると、腰脊柱管狭窄症の患者さんがかなり増えてます。どの程度なら鍼灸治療は効果があるかについて、説明します。
日本整形外科学会や関連するガイドラインは内容が多く、一般の方は分かりにくいですが、分かりやすく抜粋しました
1.症状
- 軽度: 間欠性跛行(歩行時に脚のしびれや痛みが出るが、休息で改善)が軽く、日常生活に大きな支障がない。
- 中等度: 間欠性跛行が顕著で、歩行距離が制限される(例: 100-500m程度で症状出現)。日常生活に一定の影響がある。
- 重度: 歩行が大きく制限され(例: 100m未満で症状)、安静時にも症状(しびれ、痛み)が持続する場合や、膀胱・直腸障害(排尿・排便困難)が見られる場合。
2. 画像所見に基づく分類
MRIやCTなどの画像診断を用いて、脊柱管の狭窄の程度を評価します。
- Grade A: 軽度の狭窄(脊柱管に軽い圧迫があるが、髄液が十分に確認できる)。
- Grade B: 中等度の狭窄(髄液が部分的に減少、軽度の神経圧迫)。
- Grade C: 重度の狭窄(髄液がほぼ消失、神経根や脊髄が強く圧迫)。
- Grade D: 極めて重度の狭窄(神経組織が完全に圧迫され、髄液が見られない)。
では度合い別に鍼灸治療の効果はどうでしょうか?
軽度の場合
- 症状: 間欠性跛行が軽度(例: 500m以上歩行可能)、休息で症状改善。
- 鍼灸の効果:
- 筋肉の緊張緩和、血流改善により、軽度の痛みやしびれを軽減する可能性が高い。
- 腰や下肢のこわばり、軽い感覚異常の改善に有効な場合がある。
- 日常生活の支障が少ないため、鍼灸で症状をコントロールしやすく、定期的な施術でQOL向上が期待できる。
- 適用例: 腰部・臀部・下肢のツボに鍼や灸を施し、筋緊張や血流を改善。
- エビデンス: 軽度の症例では、鍼灸が疼痛軽減に寄与する報告あり(日本東洋医学会の症例研究)。再発予防にも役立つ可能性。
中度の場合
- 症状: 間欠性跛行が顕著(例: 100-500mで症状)、軽い筋力低下や感覚異常、日常生活に一定の支障。
- 鍼灸の効果:
- 疼痛やしびれの軽減、筋力低下の進行抑制に部分的に有効な場合がある。
- 神経根圧迫による症状には限定的な効果(神経そのものへの直接作用は弱い)。
- 他の保存的治療(薬物療法、理学療法)と併用することで、歩行距離の延長やQOL改善が期待できる。
- 適用例: 神経根周辺の血流改善を目的とした深部への鍼や、低周波鍼通電療法で筋緊張を緩和。
- エビデンス: 中等度の症例では、鍼灸が補助的治療として有効との報告があるが、単独での劇的な改善は少ない(Spine誌)。
重度の場合
- 症状: 歩行が大きく制限(例: 100m未満)、安静時にも症状持続、膀胱・直腸障害の可能性。
- 鍼灸の効果:
- 重度の神経圧迫や馬尾症候群では、鍼灸の効果は限定的。疼痛の一時的軽減は可能だが、根本的な改善は難しい。
- 膀胱・直腸障害がある場合、鍼灸単独では効果が期待できず、手術が優先される。
- 補助的治療として、術後のリハビリや残存症状の緩和に役立つ場合がある。
- 適用例: 病院の治療補助として、腰部や下肢のツボに施術し、筋肉の緊張緩和や血流改善を目指す。
- エビデンス: 重度例での鍼灸の効果は良くなく、手術後の補助的役割が主(日本整形外科学会ガイドラインでも保存的治療の限界が指摘)。
最後になりますが、鍼灸は軽度、中度の症状に比較的に効果がありますが、年齢、併存疾患、症状の原因(変形性脊椎症やヘルニアの関与)により異なります、
重症まで進行する前に早く治療するほうがお勧めします。気軽にご相談ください。
健康堂 久我山院
西荻窪院
参考資料:日本東洋医学会の症例研究
日本整形外科学会 関連するガイドライン
Spine誌 鍼灸治療
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